繊細な世界

繊細なサラリーマンはマーケティングが得意。筋トレが趣味です。

MENU

コオロギ食についての現役食品マーケターの見解

コロオギ食盛り上がってますね。

つい最近はなぜか知りませんが急にコオロギ食がメディアに出るようになりましたね。Twitterでも著名人が取り上げたりでなかなか話題化が進んでいるように感じます。

 

 

 

 

ではなぜ今回のような騒動が起こったのか。そこについてかいつまんで説明していきます。

 

背景にあるのはたんぱく質クライシス(危機)

様々な予測のもと将来はたんぱく質クライシスが起こると予想されています。

futokoro.san-yu.co.jp

早い話たんぱく質の需要量がいずれ供給量のキャパをオーバーし、世界的にたんぱく質不足になってしまうという説です。人口が減り続けている日本でそんなこと起こるんかいな?と思われるかもしれないですが、世界的な視点で見ると日本の人口減なんて目じゃないくらいインドや中国で爆発的に人口は伸びています。そっちの人口が増えてくると日本に輸入されるはずだったたんぱく源が入ってこなくなるので確かに日本でのたんぱく質供給量は減ってしまうかもしれないですね。

あながちこの説は間違っていないので何かしら備えなければいけないな~というのが大方の食品メーカーのスタンスです。

 

たんぱく質危機への準備

ただ2050年ともなるとだいぶ先で、今会社を経営している人たちは大体フェードアウトしているのでこの問題に関して真剣に考えていないように感じます。とはいえ何もしないのはSDGs的によくないのでメーカーの中では「大豆ミート」への取り組みがとても流行っています。大豆ミートの業界はとても不思議で参入企業数の多さに比べてものすごく市場規模は小さく、いかに業界人だけが盛り上がっているかを結果が物語っていますね。

 

大豆ミートではなくなぜコオロギ?

大豆は非常に万能な作物です。大体100日前後で収穫でき、水が少なくてもよし、天候が悪くてもよし、収穫後は肥料にもよしと全てをカバーできる作物なのです。

そんな大豆をおいしく加工すればいいのになぜコオロギを扱おうかとするのは、より数値的に優れているという情報に踊らされた結果だと考えています。

大豆は100日前後といいましたが、コオロギは生体になるまで約60日といわれており、非常に短い期間でたんぱく質源となることができます。また水や温室効果ガス排出量も少ないなど、数値で見える面に優位性を見出してしまったがために、そこしか見ていない方が勘違いして進めてしまったのだと感じます。本当に大事なのは消費者がどう思うかということなのに、数値上の優秀さだけ説明されても反発が起こるのは当たり前です。このあたりはマーケティング担当としてもっとうまく進める方法があったのではと感じます。

 

コオロギ食の時代は本当にくるのか?

結論からいうと私の見解ではコオロギ食は趣味以外の領域では実現しないと思います。

大前提として、コロオギ食が一般の食事で成り立つ条件としてたんぱく質をとる手段がコオロギを食べるしかないという状況になりますが、まず日本人の主食のお米や小麦にも結構な量のたんぱく質は含まれています。この食生活が崩れ去るのはほぼありえないでしょう。仮に主食だけではたんぱく必要量がまかなえないとしてもたんぱく供給源として、植物では大豆、動物では鶏という非常に優秀な食材がおります。間違いなくコオロギよりもこちらへ流れがシフトすると思います。

例えば世界的に超強力な伝染病が蔓延して、鶏が一切飼育できない。また世界的天候不良で大豆が十分量供給できない・・・なんてことが同時に起こってしまったらコオロギの出番もあるかもしれないですが、たぶんその状況になったらコオロギを食べるとかそういう以前に人類は滅びてると思います。病原菌に強くなるよう長年の英知をかけて品種改良を重ねた鶏を脅かすほどの病原菌があったら、同じ生物の人間ごときひとたまりもないと思いますので。。。

 

まとめ

コオロギ食が必要になることは今後はないと思います。

ただこういった新たな取り組みは、別の視点が組み合わさることでイノベーションを生むこともあり得ますので取り組み自体の否定はしないです。ただ、社会的意義を免罪符に声高に宣言するのはやめてもらいたいのが個人的な意見ですね。